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変形性関節症について

2021/08/01

・概要

  変形性関節症とは、骨および軟骨の増殖性変化を示す疾患です。従来は関節軟骨の摩耗(すり減り)と変性を伴う疾患とされてきましたが、最近では、“軟骨の喪失とその周辺組織の新生による形態の再形成が生じるもの”とされています。

つまり関節の構成成分である軟骨がすり減ってしまい、関節の形態が著しく変形してしまう病気です。その他の症状では、関節の痛みや腫れなどが現れます。

 

・原因

 原因としては、明らかな原因の疾患のない一次性関節症と他の基礎疾患疾患に起因する二次性関節症に分類されます。

危険因子としては、年齢(加齢)・肥満・性別・遺伝・職業など、遺伝因子と環境因子が関わっていると考えられています。特に肥満は重要で、減量のみで症状の軽減がみられることも多い。

 

・症状

 人の関節は、骨と靭帯、関節軟骨、半月板、筋肉で構成されています。骨と骨が直接接触していると運動する度に大きな摩擦が生じ、骨同士が削れてしまいます。こうした事態を避けるために半月板や関節軟骨、筋肉が摩擦力を軽減させる仕組みになっています。

しかし、加齢により軟骨が徐々に削れてしまい、その他にもさまざまな変化が加わることで関節の動きに支障がでます。関節軟骨の摩耗がひどくなると、関節の痛みや変形が徐々に伴うようになり、変形性関節症を発症します。

症状は、関節痛(主に運動時痛と荷重時痛)、関節可動域制限から発症します。

関節痛の原因は、摩耗した軟骨片などにより二次性に滑膜炎が生じ関節の腫れ(水種)がみられるようになります。

関節水種による関節包の過緊張、増殖した骨(骨棘)による刺激、関節の不安定性による筋肉や靭帯の過緊張などが考えられています。

関節可動域制限は、最初は痛みによるものが多いですが、進行すると徐々に軟部組織(筋肉や関節包など)の拘縮が生じます。さらに進行すると関節面の破壊や変形により徐々に可動域制限が著明となります。

関節変形は、軟骨破壊による関節の隙間(関節裂隙)の狭小化、骨の増殖性変化(骨棘・骨硬化)などにより生じます。例えば、股関節では骨頭の扁平化や脚短縮、膝関節では内反変形(O脚)が生じやすいです。

また、歩行障害も生じることがあります。痛みがあまりない場合は、下肢の短縮や変形による特徴的な歩行を示します。一方、痛みが生じると特徴的な逃避性(疼痛性)跛行を呈します。

 

・変形性関節症の好発部位

 どの関節にも発症しますが、一般的に外力の影響を受けやすい荷重関節(股・膝関節)で頻発することが多いです。しかし足関節は例外的で外傷からの二次性関節症(事故などによる変形)を除き、あまりみられません。

非荷重関節(肩・肘など)でも頻繁に動かすことのある肘関節では頻度は少ないものの生じることがあります。

・検査、診断

 変形性関節症の診断は、年齢や症状、レントゲン画像などから総合的に行われます。

また、関節リウマチやその他の炎症性疾患と区別するために、血液検査や関節液検査も通常補助的に行います。レントゲン画像以外にもCTやMRIなどの画像検査を追加することで、より詳細に確認することができ、骨壊死などの骨髄病変などの確認も行うことができます。

 

・治療

 治療の目的は、疼痛の軽減と関節可動域制限の改善ですが、本疾患に対する根治療法はありません。つまり、治療としては対症療法(症状を和らげる治療)が行われます。

対象治療には、保存療法(安静・免荷、減量、運動療法、薬物療法、装具療法)と手術療法(整形外科的治療)があります。

 

・保存療法

 保存療法には、安静・免荷、減量、理学療法(運動療法など)、薬物療法(消炎鎮痛剤の経口投与やヒアルロン酸製剤の関節内注入など)、装具療法(軟性・硬性など種々の装具、杖などの補助具など)があります。

 

・手術療法

 保存療法により症状の軽減が得られない場合には手術療法が検討されます。術式には、関節鏡視下手術や各種骨切り術などを適切に組み合わせた関節温存手術や、人工関節置換術に代表される関節形成術があります。

 

 

・予防

 変形性関節症には様々な要因が絡み合い、結果的に症状としてみられます。

そのため具体的に、“こうすれば良くなる”などの確実な解決策・予防策はありません。

しかし、原因となる因子の中に肥満があります。つまり体重による関節への負担が大きいのです。もちろん体重だけではありません。体重が変わっていなくても負担がかかることがあります。それは筋力低下です。

筋力トレーニングが疼痛をなくす要因となると言い切れるわけではありませんが、関節を構成する中で唯一鍛えることができるのは筋肉です。

症状に合わせてトレーニングは必須です。そのためしっかりと運動をしていきましょう。

 

                            理学療法士 牧 将平