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座り方について

2021/10/10

 唐突ですが、皆さんは日本人の1日の座り時間(座位時間)は平均何時間かご存知でしょうか?

 正解は平均7時間であり、世界最長ともいわれています。さらに、ここ数年は新型コロナウイルスの影響も相まって、テレワークでのPC作業が増え更に座位時間も増えている方もおられるのではないでしょうか?

 

座位時間の延長に伴い、どういった影響があるのか?

 長時間座り続けることで血流や筋肉の代謝が低下し、心筋梗塞、脳血管疾患、肥満、糖尿病、がん、認知症など健康に害を及ぼす危険性が指摘されています。1日に座っている時間が4時間未満の成人と比べ、1日に11時間以上座っている人は死亡リスクが40%も高まると言われ、2011年、WHO(世界保健機構)によれば「世界で200万人の死因になる」という発表もあります。WHOの発表では、喫煙は世界で500万人以上、飲酒は300万人以上の死因と言われています。いまや“座りすぎ”も喫煙や飲酒と同じように健康リスクを脅かす問題の一つなのです。

 また、座りすぎは体の健康だけではなく、心(メンタル)にも悪影響を与えます。(公財)明治安田厚生事業団体力医学研究所の調査によれば、1日12時間以上座っている人は、6時間未満の人と比べて、メンタルヘルスの悪い人が約3倍も多いことがわかっています。座りすぎによる疲労やストレス過多は「うつ病」にもつながりかねません。

 もう一つ座位時間の影響を受ける疾患があります。それは、腰痛です。

このブログを読んでおられている方々の中にも慢性腰痛で悩まされている方々も多いのではないでしょうか?

おかだ整形外科にも腰痛で悩まれており来院されている方々もいます。

 

では、なぜ腰痛に影響があるのでしょうか?

 腰(腰椎)には椎体と椎体間に椎間板という緩衝作用をもつクッション様の物があります。立っている姿勢(立位姿勢)と比べた座位作業の利点は、足や膝への体重免荷やエネルギー消費の軽減が挙げられます。欠点は、椎間板と腰背部筋への負担が挙げられます。特に、椎間板の内圧が高まると腰痛を引き起こします。

 座位姿勢は、腰椎椎間板の中心付近が支点となり、前傾が強くなると腰椎椎間板の内圧は高くなります。立位姿勢のL3椎間板内圧を100%とした場合、仰向け(仰臥位)は25%、直立座位は140%、前屈座位185%と報告されています。このように座位での椎間板内圧は著しく高くなる場合がありますが、少しでも軽減するために良い姿勢を保つこと、つまり適度な腰椎の前彎を維持することで負担を軽減できます。

 

典型的な悪い座位姿勢

・頭部前方位座位姿勢

 これは頭が前傾した座り方です。つまり顎が上がっている姿勢です。

首痛(ストレートネック)や肩こり、腰痛などの原因となりやすい姿勢です。

原因としては、PCのディスプレイの高さが合っていないこと、目が悪いことも原因となります。

 

・腰椎後弯位座位姿勢

 これは体が硬い人に多い座り方です。太もも裏(ハムストリングス)などが硬い人は骨盤を立てて座ること(腰椎の前彎、骨盤前傾)ができないために骨盤が後ろに傾いた状態(腰椎の後弯、骨盤後傾)で座ることになります。この状態では腰椎の椎間板ヘルニアなどになりやすくなります。また、お腹を追った状態になるため、胸椎の後弯が大きくなりお腹を圧迫した状態になります。この状態では、横隔膜の動きが阻害され呼吸が浅くなったりします。そのため座り方でストレス過多状態になります。

 

・混合型座位姿勢

 頭部前方位座位姿勢と腰椎後弯位座位姿勢の両方の合わさった姿勢です。

 

良い座り方とは!?

 では、どのような座り方が体に負担をかけない座り方なのでしょうか?

それは、背筋を伸ばし、骨盤を立てた状態で股関節の可動域が100〜110°くらいの角度で座ることです。つまり椅子の高さを少し高くし足裏をしっかりとつけた状態で座ります。ちょうど良い椅子が用意できない場合は、いらない雑誌などを重ねて、足裏に置きフットレストを作りましょう。もしくは、タオルを四つ折りにしてお尻の骨(坐骨結節)部分に置いて骨盤を前傾できる状態を作りましょう。

 

上記しましたが、日本は世界でも座りすぎの国です。

普段、お仕事が忙しいとは思いますが何かと理由をつけて動きましょう。

例えば、「トイレに行く」や「印刷した書類を取りに行く」、「立って仕事をする」など。

体が昔より硬くなったと感じる人がいるのであれば、それは座り方が原因かもしれません。

もう一度、習慣を見直してみましょう。その結果、体の不調が少し軽くなるかもしれません。

それでも変わらない場合は、他の原因があるかもしれません。

おかだ整形外科を受診しましょう。

理学療法士 牧 将平