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足底腱膜炎について

2022/01/16

足底腱膜炎とは

 長時間の立位や歩行、ジョギングやランニングなど足底(足裏)に負担の加わる動作を繰り返すことで足底腱膜に炎症が起き痛みを感じます。また、病因は足底腱膜の変性ともいわれており40〜60歳代で発症しやすいともいわれています。

 特徴的な傾向として、「起床時の歩き出しで足の裏が痛い」「しばらく歩いていると痛みがなくなる」などがあげられます。

 

そもそも足底腱膜とは?

 足底腱膜は足の指の付け根からかかとの骨まで、足の裏に張られている強靭な腱の膜です。その主な役割は、足の甲の骨(アーチ状になって体重を支えている)を支えること、歩行やランニングにおいて地面と足部の衝撃を和らげるクッションとなることです。

原因

 足底腱膜にストレスがかかり続けることで炎症が生じ痛みを感じます。

場合によっては、ストレスがかかり続けると足底腱膜とかかとの骨の付着部に骨棘(骨のとげ)が生じる場合もあります。

 内因的要因には、BMI(Body Mass Index)=過体重や高身長、加齢による姿勢不良なども一部とされています。機能的な問題点では足関節を中心とした可動域制限や筋力低下、扁平足や外反母趾も足底腱膜炎へと繋がります。また過去の軽微な捻挫を放置した結果、足関節の可動域制限などを生じ足底腱膜炎につながる場合もあります。

 外因的要因として、自分の足に合っていない靴を履いていたり、陸上競技などスポーツをされている方には、硬い道路などでトレーニングをしていたり週間トレーニング日数や走行距離なども原因とされています。走速度も障害に起因するといわれており、短距離や中距離種目の選手にも起こり得る可能性があります。

 

メカニズム

 足底腱膜へのストレスがかかるメカニズムとしては、圧迫力と牽引力です。

足関節は様々な骨や筋肉があります。そのため関節も多数あります。その様々な関節が協調して歩行や走動作、その他動作を行っています。その中で足部(足関節より下の関節)は、衝撃を吸収する役割と推進力を得るために硬くなる役割を持っています。この相反する動きを歩行などで使い分けています。

 歩行では、踵をつき足底へと体重を乗せていく過程で最初に衝撃を吸収する役割を行います。その後足底から足先へと重心が移動する過程で推進力を作り、もう片方の脚へと続いていきます。この過程の中で圧迫力や牽引力を生じます。

 走動作でも同じく体重がかかる際に圧迫力や牽引力がかかります。その際に疼痛が生じます。

症状

 症状として、かかとの内側前方から中央にかけて生じます。痛みは、階段昇降時や足の筋肉がこわばっている状態から足を動かすときに痛みが強くなる傾向があります。上記した朝寝起きの最初の一歩、長時間座った状態などから急に歩く際などにおいて痛みを感じやすいです。この場合の痛みは、踵の下側からつま先に向かって痛みが広がります。このような症状は、次第に軽くなりますが、運動を長時間行うと再び痛みが強くなることが一般的です。重症化すると、歩けないほど強い痛みに発展することもあります。

 

 

検査・診断

 足底腱膜炎が疑われる場合、医師により診察で診断が行われます。足底腱膜の付着部分を押して痛みが生じるときや、立ったり、歩いたり、走ったりするときに痛みが現れるときには足底腱膜炎が疑われます。しかし、診断には他の病気との鑑別が大切ですので超音波検査やX線検査などの画像検査を行い正確な診断を行います。進行した足底腱膜炎ではX線検査で踵骨棘が見られることもあります。

 

 

治療

 足底腱膜炎の治療では、保存的療法(非手術療法)や手術療法が行われます。

 保存療法により約9割の方が数ヶ月で痛みが軽快するといわれています。内容としては、安静や非ステロイド系の消炎鎮痛剤内服、外用薬の使用、運動量の調整、減量、理学療法、足底装具(インソール)、患部へのステロイド注射、体外衝撃波などがあります。

 手術療法は、6ヶ月の保存療法で治療効果を得られない症例には適応されるといわれています。しかし、保存的療法で改善することが一般的です。

 

 

セルフケア

 足底腱膜炎を疑う痛みが生じた場合、最低でも1週間は激しい運動を避け、安静に過ごすことを心がけましょう。また、痛みが強い場合は1日2回、10〜15分程度痛みの強い部位を冷やしたり、消炎鎮痛薬を使用したりすることも効果的です。靴を履く際は自分の足の形に合った物を選び、インソールを入れるなどして足底腱膜にかかる負荷を和らげる工夫をしましょう。

 

 

自主運動

後脛骨筋、腓骨筋訓練

 足底腱膜炎は、上記したように衝撃を吸収する際に足底腱膜が働くわけですが他にも足のアーチ構造でも衝撃を吸収します。その吸収する際に働く筋が後脛骨筋や腓骨筋です。

 足底腱膜炎の方は、アーチ構造の破綻した扁平足や外反母趾などが合併していることもあるため、この運動はそういった方にも有効です。

 

① 後脛骨筋訓練

レベル1

方法

 椅子に座りボールもしくはクッションを用意します。もしくは、ペットボトルなんかもいいかもしれません。膝は軽く伸ばし、指も伸ばします。足首はそらさずに真っ直ぐの状態にします。この状態でボールを母趾(親指)同士で挟みます。10秒間を3セットしましょう。

※注意点

 力を入れるあまり足の指を曲げたり反らしたりしないようにしましょう。

また、足首を内に捻る事で踵や膝、股関節が外に開くことに注意しましょう。

レベル2

方法

 椅子に座りタオルを地面に敷きます。膝は軽く伸ばし指も伸ばします。

足首はそらさずに真っ直ぐの状態にします。その状態から踵を起点に内側に捻ります。

地面に敷いているタオル上を滑らすように実施します。20回を3セットしましょう。

※注意点

 指を曲げることや、足の裏がタオルから離れないようにしましょう。

また、足首を内に捻る事で踵や膝、股関節が外に開くことに注意しましょう。

レベル3

方法

 椅子に座り、トレーニングしたい方の足を組みます。このレベル3はチューブを用意します。仮に持っていない方はレベル1や2の運動の回数を増やしましょう。当院でも販売しているため、購入したい際はリハビリスタッフへお声かけください。チューブを巻き付け写真のようにセットします。その状態から母趾側へ捻ります。

※注意点

 上記レベルと同様に指を握ったり足を甲の方へ反らさないように注意しましょう。

② 腓骨筋訓練

方法

 椅子に座りタオルを用意します。足をタオルの上に置きます。足の裏をタオルにつけた状態で小趾(小指)側へ開きます。この方法で2種類の腓骨筋(長腓骨筋、短腓骨筋)をトレーニングする事が可能です。この2つの筋肉は足のアーチ構造を構成し足底腱膜同様に衝撃吸収に働きます。20回を3セットします。

※注意点

 足や足趾を反らさないこと。股関節や膝関節が内側に捻らないようにします。

・グー、チョキ、パー体操

方法

グー:椅子の上に座るか長座姿勢で行います。その状態で足趾全てを付け根から曲げます。

チョキ:グーと同様の姿勢で行います。チョキは母趾を伸展(伸ばし)、その他の足趾を曲げた状態か母趾のみ曲げ、その他の足趾を曲げた状態を作ります。

パー:グー、チョキ同様の姿勢で行います。その状態で全ての足趾を開きます。まずはしっかりと指を動かしグー、チョキ、パー体操を実施しましょう。

グー

チョキ

パー

※注意点

 曲げることに重きを置くと足首を伸ばす方向で実施してしまいますのであまり伸ばさないように実施しましょう。また、パーの状態を作る際に足を外に開く代償動作が見られるため注意しましょう。

・ショートフットエクササイズ(芋虫体操)

方法

 椅子に座り足の裏を床につけます。その状態で足趾を伸ばしたままできるだけ曲げずに、足趾の付け根と踵を近づけるようにします。10回もしくは1分間まずは実施してみましょう。

※注意点

 難易度は高めです。まずはグー、チョキ、パー体操を行えるようになってから実施しましょう。足趾は曲げずに付け根のみ曲げる運動です。

・タオルギャザー

方法

 椅子に座りタオルを敷きます。その状態で膝関節を軽度伸ばし足関節も伸ばします。その状態から指先でタオルを掴み引き寄せます。難易度を上げる場合は足趾の付け根から曲げ指先に近い関節は伸ばした状態で行ってみましょう。回数は50回を実施してみましょう。負荷量は軽いため回数を行ってみましょう。

※注意点

 動く指だけではなく全ての指で行います。厳しい場合は、グー、チョキ、パー体操を行えるように実施しましょう。

終わりに・・・

 足底腱膜炎は炎症が落ち着くと痛みは徐々に軽減してきます。しかし何かしらの原因があり足底腱膜炎になっていますので痛みが出てきてセルフケアを実施しても変化があまりな場合は、おかだ整形外科へ受診してください。小さな炎症や痛みを機に身体の状態を確認し二度と起きないようにしましょう。

 また、上記の運動に関しては一部です。分からなければリハビリスタッフに尋ねてみてください。

 

理学療法士 牧 将平