腰椎分離症について 神戸の整形外科 おかだ整形外科
2022/08/22
概説
腰椎分離症とは、スポーツ動作での腰部回旋動作などで負担がかかり腰椎の後方部分が疲労骨折(分離)する病気です。
主に10代の成長期にみられ、発症すると腰痛や下肢のしびれなどが引き起こされます。
特に小学生の両側腰椎分離症は短期間のうちに腰椎すべり症へ移行する可能性が高いとも言われています。
日本の一般成人では約6%(男性8%、女性4%)に認められます。
スポーツ選手では30~40%の人が発症します。
好発部位は第5腰椎に発生しやすく、両側性の場合も多く見られます。
また好発種目は野球、バレーボール、バスケットボール、サッカー、柔道、ラグビー、ウエイトリフティングなど、頻回に体幹の前後屈、回旋を行うスポーツに多く見られます。
原因
腰椎分離症は運動に関連して発症することが多いです。「ケガ」のように1回で起こるわけではなく、スポーツの練習などで繰り返して腰椎をそらしたり回したりすることで椎弓狭部(関節突起間部)に疲労骨折が生じて、腰椎分離症が引き起こされます。
また、腰椎分離症が原因ですべりが生じることがあり、分離すべり症と呼ばれています。腰椎分離すべり症を発症すると、さまざまな神経症状が起こります。
症状
腰椎分離症の多くは、腰痛がきっかけで発見されます。腰椎分離症は体勢によって症状が変動することが特徴です。腰椎後部の神経組織を保護している椎弓の一部が分離するため、上体を後ろに反らす動作をすると、痛みを感じるケースが多くみられます。
また、腰椎分離症に続発して腰椎分離すべり症が起こることがあります。腰椎分離すべり症では馬尾神経や神経根が圧迫され、神経症状のしびれを感じます。
検査
腰椎分離症では、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査が行われます。
レントゲン写真では、病状が進行していると椎弓の分離が確認できます。分離部分は、症状が進むと犬の首輪のような「スコッチテリアサイン」と呼ばれる像がみられます。
MRI検査では、レントゲンではわからない疲労骨折の初期を発見できます。この状態で治療を開始することが勧められます。
CT検査では、病期を判断することができます。
例えばMRIでは白く光っており(高輝度変化)、CTでは細く亀裂が入っている。この場合だと進行期前期もしくは初期と判断されて治癒の可能性が高いと判断できます。
このように、画像検査を組み合わせることで、より詳細に腰椎分離症の状況を評価することが可能です。
治療
腰椎分離症は、保存療法と手術療法の2種類の選択肢があります。
一般的に保存療法が第1選択です。
そのためには早期に発見することが重要で、スポーツに伴って発症し上体を後ろに反らすと誘発される腰痛が続く場合には、MRIなどによる精査が必要です。
精査した結果、腰椎分離症と判明した場合約3〜12ヶ月の安静期間が必要です。
また、腰部に負担のかかるスポーツ活動は3~6ヵ月間休止します。
MRIの結果で患者様によってリハビリを実施していくタイミングは変わっていきます。
ただ、実際には長期間の休止は選手や周囲の理解が得られず、早期に復帰してしまい症状の再発を繰り返す場合が多く見られます。したがって、病態について懇切なる説明と理解が必要です。
一定の安静期間後に理学療法(ストレッチ、体幹ex)など基本的運動を開始します。
理学療法では、さまざまな要因に対してリハビリを実施していきます。腰椎の上の脊柱にあたる胸椎の可動性改善や股関節の可動性改善、足関節や肩関節の可動域制限や筋力低下が要因になることもあります。
また腹筋群を中心とした体幹トレーニングやスポーツ動作に適した運動を実施していきます。
さまざまな要因が絡み合った中でスポーツ動作を実施し、蓄積した結果発症します。このさまざまな要因を調べてリハビリを実施していくことが大切です。
また再発例も中には見られます。
初期の腰椎分離症において骨癒合後の再発率は26.1%とされており、競技復帰後の再発例の原因を調査した報告では、股関節周囲筋の柔軟性低下が要因とされています。
手術療法は保存療法に抵抗して長期間疼痛が残存する症例で、今後も長期間競技レベルのスポーツを望む症例に適応がある。分離部の動揺性が強い場合は骨移植手術、脊椎固定術などを行うこともあります。
おわりに
今回は、成長期に当たる小中学生や高校生に発症の多い腰椎分離症について記載してみました。
上記した症状に似た症状がある際には、神戸市東灘区のおかだ整形にご相談ください。
理学療法士 牧 将平