肋骨骨折について
2023/07/02
概要
肋骨骨折とは、心臓や肺などの臓器を保護する肋骨に生じた骨折のことです。交通事故や転落、転倒、コンタクトスポーツなどにより肋骨に直接的にストレスが加わることで発症します。
肋骨とは
肋骨は左右12対の骨で背中の胸椎から前胸部の胸骨までかごのように胸郭を形成しています。その中に存在する心臓や肺、腹腔内の肝臓などを保護しています。
第1〜7肋骨は肋軟骨を経てそれぞれ個別に胸骨と関節を作っています。残る5対の肋骨は、胸椎とは後面で関節を作るものの前面の胸骨とは直接結合していません。第11、12肋骨の前方は胸骨にはくっついていません。
原因
肋骨骨折は肋骨部に直接ストレスが加わることで発生します。
強度の外力
強い大きな力が胸部に加わることで発症します。
・交通事故にて胸部を強打する。
・転倒、転落により胸部を強打する
・コンタクトスポーツ(アメリカンフットボールや柔道など)で胸部を強打する。
軽度の外力
それほど強くない外力でも頻回にストレスがかかることで、肋骨骨折を発症することがあります。
・繰り返し行われる咳。
・胸部を机の角などにぶつけてしまう。
・過度に繰り返されるゴルフスイング動作や投球動作。
※ゴルフスイング動作や投球動作により発症する骨折は、疲労性骨折の部類に入ります。
特にゴルフでは始めて3ヶ月以内の初心者による骨折が多く、利き手の反対側に多かったと報告されています。
①初心者、②ドライバー練習、③1日200球以上の練習 この3つが危険因子とされています。
症状
症状としては骨折部位に一致した痛みや圧痛、皮下出血、腫れなどがみられます。体をそらしたり、肩を動かしたり、深呼吸や咳、くしゃみをすると痛みが強くなみられます。
肋骨骨折の重症例では、肋骨は心臓や肺などの臓器を保護しているため同時にの臓器が損傷を受けることがあります。この場合、損傷を受けた臓器に関連した症状、臓器からの出血に関連した血圧低下など、より重篤な症状をみることがあります。
検査・診断
肋骨骨折が疑われる状況では、医師により触診やレントゲン撮影により骨折の有無を確認しますが、時に肺の影や肋骨同士の重なりにより骨折が判明しにくい場合があります。当院ではエコーを利用しレントゲンでは判別しにくい程度の骨折のズレを確認することもあります。
治療
骨折した肋骨の本数や骨折の転位の程度、臓器損傷の有無などによって治療方針が異なります。
軽度の骨折であれば、鎮痛薬により痛みの緩和を図りバストバンドと呼ばれる固定具による肋骨の固定などで対応します。骨折の程度が重篤な場合や臓器損傷がみられる場合には、外科的な治療も考慮されます。
終わりに
以上が肋骨骨折についてです。
軽症でよく聞かれる骨折ですが、肋骨の内部には大切な臓器があります。
軽微なストレスでも状況とタイミングで骨折することもあります。
脇腹が痛いや呼吸すると違和感があるなど自覚症状があれば受診してください。
私たち神戸市東灘区の整形外科、おかだ整形外科は真摯に向き合い治療しています。
理学療法士 牧 将平