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鎖骨骨折について

2023/12/24

概要

 鎖骨とは体幹上部にあり、皮膚から触れやすい骨で左右対称のS字型をした骨です。太さは、均一ではなく中央部から外側にかけて丸から三角形へと変化します。鎖骨の切断面をみたとき、丸から三角形に変化する部位は外力に対して弱く、鎖骨骨折が生じやすい部位でもあります。この鎖骨骨折は、全骨折の中で約10%を占める骨折のひとつです。

 受傷機転はスポーツや交通事故による転倒などの外傷によって骨折する場合が多く、好発年齢は小児で多いですが、どの年齢層でも頻度の高いことが特徴です。また、幼児では不完全骨折のことが多いです。

 骨折好発部位は約80%が鎖骨の中央3分の1の部位で発生しますが、成人から高齢者の場合は肩関節寄り(遠位端)の骨折を生じることもあります。
 骨折受傷によって、内側骨片は胸鎖乳突筋によって上方に引っ張られ、外側骨片は大・小胸筋や三角筋により前方かつ上肢の重量によって下方に引かれた転位で骨折部は上方凸の変形を示します。また、骨折部が重なりあって短縮を生じます。骨折部に皮下出血やはれ・痛みが生じ、上腕や肩関節を動かすとさらに痛みが強まります。特に交通事故のように外部から強い力が加わったことで生じたものでは、神経、血管損傷や肺損傷を生じることもあります。

要因

 要因(受傷機転)は、上肢を伸展(伸ばして)した状態での転倒や転落により肩関節を打った際の受傷が多いですが、直接鎖骨へ外力が加わることによって受傷することもあります。

また交通外傷・コンタクトスポーツ(ラグビーやアメリカンフットボール)で肩や腕を強打した衝撃が要因で起こることもあります。

症状

 鎖骨骨折が生じた際に「ポキッ」という音を聞く方も少なくありません。鎖骨骨折では、骨折部位に痛みや腫れを生じます。特に鎖骨骨折で生じる痛みは捻挫や脱臼よりも強く、肩関節を上げられないことも多いです。また骨折部位の変位により皮膚が突出して見えることもあります。

 合併症として、鎖骨周囲の神経が損傷して、手にしびれや痛みが生じることもあります。骨折した部位や骨転位(ずれ方)によっては、骨癒合不全が生じると言われています。

検査・診断

 診断は最初に単純X線(レントゲン)を用いて行います。中央部での骨折は比較的診断が容易ですが、撮影方向によっては骨折がわかりにくいこともあるため複数の異なった方向から撮影することもあります。骨折の仕方やずれが大きい場合は必要に応じて、CTの検査を行います。

治療

 治療は保存療法が原則です。骨折の転位などを考慮して決まります。

特に幼児では8字帯固定法あるいはDesalt(デゾー)包帯法を行います。患児を椅子に座らせて、できるだけ胸を反らせて、重なり合って短縮した骨片を整復します。固定期間は乳幼児では2~3週間、小中学生、成人では4~6週間程度で、低年齢児ほど短くてすみます。しかし、成人の場合は骨折部の短縮や粉砕が強いと骨癒合が不良で偽関節となり痛みや不安定感を生じる可能性、骨癒合したとしても短縮し変形が残ったままだと痛みや運動制限などの機能障害を生じるおそれがあるため、手術療法を行った方がいい場合もあります。

夜間は、折り畳んだタオルを肩甲骨部に置き、胸を張った姿勢で寝るように指導します。

 手術では、骨折端皮膚を突き上げている場合、腕神経叢圧迫症状がある場合(痺れや冷感など)、多発骨折で管理上骨折の安定性を得たい場合に手術適応となります。

 手術方法としては、鋼線を用いた固定や専用のプレートを用いた固定法など骨折の形に応じた種々の固定法があります。

終わりに

 今回は、鎖骨骨折について記載しました。

鎖骨骨折は、疼痛の強い骨折で腕が上がらないことから脱臼と勘違いをしてしまうこともあります。

肩関節から転倒や転落をし、肩関節周囲に違和感が継続している場合は受診をしましょう。

私たち神戸市東灘区の整形外科、おかだ整形外科は真摯に向き合い治療しています。

 

理学療法士 牧 将平