外側円板状半月板

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外側円板状半月板

2024/03/10

概要

 外側円板状半月板とは、本来構造的に半月状になっている膝関節外側の半月板が丸く厚い形状になっている先天的な形状異常のことです。偶発的に発見された形態異常のみで発症していない例も少なくありませんが、未就学児から中高年者まで幅広い年齢で発症し、外傷をきっかけに発症することもあります。

 半月板は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)間の内外側にある半月形の軟骨組織の一種です。

クッションの役割があり,膝関節にかかる荷重を分散し衝撃を吸収する機能のほか,膝関節を安定させる役割もあります。半月板に断裂や変性が生じると膝関節の痛みや引っかかり感,膝関節の不安定感などの症状が出現します。その後、経過の中で関節内で骨表面を覆っている軟骨がしだいに損傷を受け,変形性膝関節症の要因となってしまうこともあります。

 半月板損傷の要因としては、スポーツなどで膝関節への外力や靱帯損傷、加齢に伴う変性などのほか、先天的な形態異常がある。

この半月板の先天的な形態異常の代表が円板状半月板である。ほとんどが外側半月板に生じ、内側に生じるのは非常に稀とされている。円板状半月板は激しい外力や長期間のストレスがかかっていない場合でも、容易に損傷することがあります。その要因としては、線維配列や血行が正常半月板と異なることや、通常の半月板より厚く大きいためストレスがかかりやすいことが考えられる。
 膝外側円板状半月板の発生頻度は、欧米人では0.4~5%とされていますが、日本人を含むアジア系人種ではより高く、5.8~17%とされています。

要因(病態)

 外側円板状半月板の原因は解明されていないです。ただ上記したように通常半月板と異なり、コラーゲン線維が疎で配列が不正であるため、損傷を受けやすいです。

 外側円板状半月は脛骨軟骨面を完全に覆う完全型と正常よりも大きいですが脛骨軟骨面の被覆が80%未満である不完全型に分けられます。

 約半数は無症状である可能性があり、症状を有する場合は高頻度で両側性であるとも報告されています。

症状

 症状としては、膝関節痛(外側を中心に)、膝関節の可動域制限(伸びない、曲がらないなど)、引っかかり感、膝の腫れ、膝関節不安定感(脱臼感)、曲げ伸ばしで引っかかって動かない(ロッキング現象)などが通常の半月板症状と同様です。また、形態的な特徴から、損傷がなくても症状をきたすこともあります。年少者での発症も少なくなく、疼痛訴えははっきりしませんが、屈伸時に礫音や弾発現象、徐々に進む可動域制限などを訴え受診される方もいます。年齢が高くなるにつれて痛みの症状で受診することも多いです。

検査・診断

 診断は、上記症状がみられ10歳未満の患者様の場合は外側円板状損傷を疑います。

受傷機転や症状、視診、触診などでも行います。

 検査は、レントゲンやMRIにて行います。

レントゲンでは、特徴があり外側関節裂隙の開大(外側の隙間)などです。

MRIは確定診断に必要です。特にMRIでは関節鏡視下の視診のみでは診断できない半月板内の損傷も確認できるため有用です。

治療

 治療としては、膝関節機能障害や症状が軽微で、日常生活動作への支障が少ない場合は、保存治療としていきます。しかしながら多くの場合で支障をきたすこともあり、その場合は外科治療が必要になります。

保存治療

 痛みや腫れなどがある場合は、安静にします。その際にアイシングや湿布、抗炎症薬を使用し症状寛解に合わせてリハビリテーションを実施します。

 リハビリテーションでは、膝関節の機能改善や動作改善を図っていきます。

手術療法

 状態にもよりますが保存療法を行い、しばらく経過を観察しても症状寛解しない場合は手術療法になります。かつては、外側円板状半月板に対しては全切除や亜全切除が主流でした。しかし、全切除や亜全切除の問題点は、短期的な臨床成績は悪くないものの、長期的には変形性膝関節症をきたす可能性が高いことです。したがって、現在では可能な限り半月板を温存する形成的切除とともに半月板修復を行うことが推奨されています。

 術後の後療法としては、通常の半月板縫合術と変わりなく、可動域訓練は術後1日目から開始します。半月板縫合の併用がなければ、術後1週以内から全荷重歩行を許可します。軽い運動(ジョギングなど)は、おおむね術後3ヶ月後で開始しスポーツ復帰には術後6か月を目標とします。

終わりに

今回は、外側円板状半月について記載しました。先天的に見られるもので症状が出ない場合もあります。

症状がみられた際には無理をせずに早期受診をしましょう。

私たち神戸市東灘区の整形外科、おかだ整形外科は真摯に向き合い治療しています。

 

理学療法士 牧 将平