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半月板損傷について

2022/11/13

概要

 半月板損傷とは、膝関節内にある半月板に亀裂が生じたり、欠けたりした状態です。若年者から高齢者まで発症し、慢性化すると変形性膝関節症を引き起こす可能性もあるため、適切な診断と治療が重要です。

 半月板とは、膝関節の中にある軟骨で、大腿骨と脛骨の中に間に存在しています。よく「軟骨がすり減る」と聞くことがあると思います。この場合の「軟骨」は関節軟骨のことを指します。半月板と関節軟骨の違いは半月板は線維軟骨、関節軟骨は硝子軟骨といった種類の違いとなっています。

 半月板の役割とは、膝関節の内側と外側にあり衝撃吸収(クッション)の役割や膝にかかる荷重を分散したり、関節軟骨の保護、膝関節の適合性を高め安定化の役割を担っています。

 半月板は血流に乏しい組織のため、1度損傷すると自然治癒する可能性は低いです。

原因

 半月板は単独損傷と、靭帯損傷などと合併して損傷する場合があります。

運動中に膝を捻るなどの大きな力が加わって損傷する場合や膝が深く曲がったりすると半月板が脛骨と大腿骨の間に挟まれて損傷を受けます。

また、スポーツ外傷のひとつである前十字靭帯損傷では、脛骨が前方に亜脱臼し、半月板の後方に異常なストレスが加わるため損傷が生じやすくなります。

外傷による大きな力がかかったときだけでなく、繰り返す微細なストレスや、加齢による変性が原因となることもあります。高齢者ではささいなケガや日常生活動作でも損傷することがあります。

 一般的に半月板はアルファベットの「C」のような形をしていますが、日本人や韓国人などアジア人は、先天的にC型の中央のくぼみがなく、脛骨関節面の大半に覆いかぶさる円板状半月が多いとされます。円板状半月では、一般的な半月板と比較して線維の配列がまばらであるために、大きなきっかけがなくても損傷を受けることが多いとされています。

 半月板損傷は断裂の形によって次のように分類されます。断裂の形や部位によって治療法が変わります。

症状

 半月板を損傷すると膝の曲げ伸ばしの際に痛みや引っかかり(キャッチング症状)を感じるようになります。ひどい場合には膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなる“ロッキング”という状態になり、激痛のため歩けなくなることもあります。半月板損傷は、長期的には軟骨損傷から変形性膝関節症に至ることもあります。

検査・診断

 半月板損傷が疑われる場合には、診察時に医師が手で半月板にストレスをかけることで痛みや感覚を再現させる検査が行われます。また、レントゲン検査やMRI検査などの画像検査が行われます。レントゲン検査では、半月板損傷に伴う関節症変化の有無について確認します。

 MRI検査は、半月板損傷の診断率が非常に高く、有用性が高い検査だと考えられています。損傷を受けた半月板の形態は、縦断裂や水平断裂、横断裂、弁状断裂などさまざまです。MRI検査により、どのような半月板損傷が起こっているか把握することができます。また、半月板内部の評価にも有効であり、上記の断裂の種類の評価なども行います。

治療

 治療は保存治療と外科的治療の2つに大別することができ、外科的治療はさらに切除術と縫合修復術に分かれます。

 膝関節内での様々な役割を持つ半月板は切除すると再生することはありません。そのため、機能的な面を考えると保存もしくは縫合による修復が望ましい面もあります。しかし、損傷形態や変性の程度によっては、縫合による修復術が難しい場合もあります。その場合は、部分的に損傷半月板を切除する方法がとられます。

主治医から説明を十分に受け、メリット・デメリットを理解したうえで治療を選択することが大切です。

・保存療法

 半月板には、軟骨にかかるストレスを減らす重要な役割があるため出来る限り温存することが重要です。以前は、半月切除術が主な治療法とされていましたが、半月切除後に長期間経過観察すると程度の差はあれ必ず関節軟骨損傷を伴うため現在では温存を目的とした治療が重要視されています。

 特に血流がある部位の損傷の場合は保存療法が有効です。血流がないもしくは少ない部位の損傷で、半月板が痛みや引っかかり感の原因になっている場合には半月切除術を行いますが、切除範囲は最小限として全切除は避けるべきです。特に中高齢者で0脚の場合は、加齢によって内側半月に変性断裂が多々みられますが、安易に切除術を選択すべきではないです。

 実際の保存療法としては、運動療法や足底板、ヒアルロン酸の関節内注射などになります。保存療法を行っても痛みや引っかかり感、ロッキングなどの症状が続く場合には手術を行います。

 

・手術療法

 断裂部位の幅が1センチ以上と大きい場合や自然治癒が期待できない場合は、手術療法が検討されます。

手術法には、損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術の2種類があります。通常は関節鏡(1cmの小さな切開が2つで手術が可能です)を使った鏡視下手術を行います。

 

・手術後のリハビリテーションについて
 縫合術の場合は縫合部位の再断裂が、切除術の場合は軟骨の摩耗により術後数年で軟骨損傷が進行する可能性があることから、リハビリテーション(運動療法)をしっかり行うことが大切です。リハビリテ―ションを開始するタイミングや内容は、手術方法や損傷部位、切除または縫合部位・範囲によって異なります。半月板縫合術の場合は、屈伸動作や過度な力が加わることで再断裂のリスクが高まるため、松葉杖の使用やギプス固定により免荷(体重をかけない)や可動域の制限を3~4週間程度行います。

 

・スポーツ復帰のタイミング
 断裂の形や範囲などによって異なりますが、半月板切除術では術後約2~3ヶ月、半月板縫合術では約6ヵ月程度とされています。

最後に

 今回は半月板損傷について紹介しました。

生活をしていて膝が痛い、スポーツをしていて膝が痛い。その痛みは体からのサインとなります。放置して長引く前に神戸市東灘区の整形外科 おかだ整形外科にご相談ください。

私たちは真摯に向き合い治療しています。

 

 

理学療法士 牧 将平