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オスグッドシュラッター病について

2023/02/05

今回は成長期のお子様に多い、膝の痛みについて紹介しようと思います。

概要

 オスグッド・シュラッター病とは、脛骨結節(脛骨粗面)と呼ばれる膝蓋骨(お皿の骨)の下にある骨が飛び出してくることで痛みが生じる怪我です。スポーツをしている時や酷くなると日常生活(階段や坂道)で症状が現れることが特徴です。

 成長期の少年、少女に起こりやすいスポーツ障害の1つです。特にサッカー、陸上、バスケットボール、バレーボールなどで生じやすいです。

小学校高学年~中学生に発症することが多く、性差では女子よりも男子に多くみられます。

ちなみに11~13歳のサッカーチームを対象にした調査では、240例中55例(23%)がオスグッド・シュラッター病だったという結果も報告されております。

原因

 成長期の子どもは、骨の成長に筋肉の成長(柔軟性)が追いつかず、バランスがうまく取れていない事が多いです。その状態でスポーツなどの運動を過度に行なうと大腿四頭筋が付着する脛骨粗面部に負荷がかかります。膝関節伸展(膝関節が伸びること)は、大腿四頭筋が膝蓋骨上端に付着し膝蓋骨を介して、膝蓋骨下端から膝蓋腱を経緯し脛骨粗面に付着して停止します。この大腿四頭筋が収縮して膝関節が伸展します。

このように、大腿四頭筋の筋力は最終的には脛骨粗面に伝わります。脛骨粗面部は1.5×2.0くらいの大きさしかないため、大腿四頭筋の牽引力によって骨端核の発育が阻害され、剥がれやすく弱い構造なのです。

その結果、付着部に物理的な刺激が生じ軟骨が一部はがれるなどのトラブルが生じます。成長期の結節部は柔らかいために刺激がより加わり、熱感や腫れなどの炎症を生じてしまいます。運動を休止すれば症状は緩和されますが、継続するとさらに悪化し、脛骨粗面部が隆起してきます。成長期を過ぎれば症状は落ち着いてきます。

また、成長期特有の筋肉のアンバランスにより骨盤の後傾や足首が硬くなることがあります。
授業中やスマホ使用時、ゲームをするときに猫背でいることが長時間続くことで胸の筋肉など上半身の前側の筋肉が硬くなり、姿勢が悪くなってしまいます。
 姿勢が悪くなると後ろ重心となり、膝関節が曲がる方向への力が働きます。それに抵抗するために大腿四頭筋が過活動になりストレスとなります。
 骨盤から始まる大腿直筋(大腿四頭筋の一部)が通常より引き伸ばされることで柔軟性が低下する。それにより、膝蓋骨の位置が異常となる「上方偏位・後傾」を引き起こす。このような状態でスポーツ動作(着地動作、しゃがみこみなど)での急激な膝関節の曲げ伸ばしをすることにより、脛骨粗面へ引っ張るストレスが増大します。
脛骨粗面へのストレス軽減や再発防止のためにも、姿勢やスポーツ動作を改善させ重心が前方に行くようにすることも必要です。

症状

 オスグッド・シュラッター病の主な症状は脛骨粗面の隆起や痛み(圧痛:下図は圧痛部位)、腫れ、患部の熱感です。痛みは膝関節を動かすと生じ、休むと軽減することがほとんどです。

一般的に症状は片脚にだけみられますが、時に両側に発生します。

 スポーツ動作全般で発生しますが、特にジャンプ動作(バレー、バスケ)での膝屈伸時やダッシュやキック動作(サッカー)でみられます。ジャンプ時の疼痛が原因でジャンプ力が低下したり、ダッシュ時の疼痛でタイムが低下したりするなど、スポーツ能力の低下に直結しますが、急性外傷(突発的なケガ)ではないためにスポーツ休止の判断が難しく、現場では疼痛を抱えながらもスポーツ活動を継続している選手を散見します。

検査・診断

 オスグッド・シュラッター病は患部の隆起、圧痛により診断されます。X線検査や超音波検査を行い、脛骨結節の腫れや剥離を確認します。また、必要に応じてCT検査やMRI検査を行うこともあります。

治療

 オスグッド・シュラッター病は成長期に一時的にみられる病気であり、通常は成長とともに自然と治癒します。

そのため安静や痛み止めなどを用いた薬物療法、物理療法、また、競技復帰のためのリハビリテーションを行います。
早期にスポーツ活動の休止を含めた安静保存療法を施行することによって、変形を残さず治癒できる可能性があります。これに対して進行してしまい、骨棘などを形成してしまうと痛みは長期におよび、スポーツ復帰後も違和感が残存することがあります。保存的加療で多くの場合は軽快します。成長期の膝痛は早期に受診するようにしましょう。

 安静時痛や運動時痛が強い段階では、スポーツを中止し、RICE処置(Rest :休息、Icing :冷却、Compression :圧迫、Elevation :挙上)や物理療法、患部外トレーニングを行います。安静時痛が消失した段階では、大腿四頭筋を含めた下肢の柔軟性の獲得を目指し、徐々に運動を開始します。
運動時痛が軽減した段階では、ランニング開始に向けた筋力訓練や動作訓練を行っていきます。ポイントとしては原因の項目で説明した猫背などの運動時の姿勢改善などを図っていきます。

また運動時痛の再発がなくなれば、競技復帰は可能になります。

終わりに

 今回は、オスグッドシュラッター病について紹介しました。

成長期にはよくみられる膝関節痛の1つです。

早期に診察を受けると早期軽快をします。

成長期の膝痛は早期に受診するようにしましょう。

私たち神戸の整形外科 おかだ整形外科は真摯に向き合い治療しています。

 

理学療法士 牧 将平