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シンスプリントについて

2023/05/01

概要

 シンスプリントとはスポーツ障害の1つです。ランニングやジャンプなどの着地動作によって脛骨(すねの骨)の内側に痛みが生じます。過労性脛部痛、脛骨疲労性骨膜炎、脛骨過労性骨膜炎と呼ばれることもあります。特に多い競技は、陸上競技(中・長距離走)やバスケットボール、サッカー、バレーボールなどの走行動作や着地動作、切り返し動作が多い競技で見られます。

 年齢層はスポーツをしている若年層(12〜16歳)に多く、性差では女性に多く比較的早期に発症します。新学期に入り部活動を開始したり、新しい競技を行うことや冬の練習量増加などで足の疲労が蓄積した際に発症しやすいです。

要因

 シンスプリントは主にランニングやジャンプなどの着地動作によって、脛骨(すねの骨)に付着しているヒラメ筋や後脛骨筋、長趾屈筋などが下腿筋膜を介して骨膜を牽引することによって生じると報告されています。つまり着地動作によって筋肉が繰り返し引っ張られることによって脛骨(すねの骨)の骨膜に炎症が起きてしまう障害。

 発生要因としては大きく2つあり、扁平足(足裏が平らになった状態)や回内足(足首が内側に傾いた状態)などの足部形態異常、ヒラメ筋や長趾屈筋の柔軟性低下、足関節可動域低下、ハムストリングス(内側)やヒラメ筋の筋力低下足の疲労が内的要因です。

もう1つは外的要因として、使用しているシューズの問題や練習環境(アスファルトなど)、練習内容・時期(特に練習で走り込み量や多い時期、走り始めの時期)になります。

症状

 シンスプリントの主症状は、徐々に発生する下腿内側(主に脛骨内縁中1/3、目安として脛骨内踝より12~20cm上)の圧痛、運動時痛、腫張が主症状で足屈筋の抵抗運動(地面を押す方向)で痛みは増強します。

また、痛みによって分類されます。前外側型と後内側型に分けられます。

 

・前外側型:脛骨前外側に疼痛が見られます。(前脛骨筋、腓骨筋など)

・後内側型:脛骨後内側に痛みが見られます。(後脛骨筋、ヒラメ筋など)

 

 足が地面に着地や離地した時に痛みを感じ、初期にはウォーミングアップや安静によって痛みが消失しますが、根本的な問題(上記要因)を解決しないまま練習を継続することで次第に増悪し、練習開始から徐々に増悪し常に痛みがある状態となります。更に増悪すると安静時疼痛も見られ、日常生活に支障をきたすようになります。

 痛みが継続する場合や痛みの強度の増悪の場合は、脛骨の疲労骨折の可能性もあります。また脛骨の痛みはコンパートメント症候群でも起こります。これは打撲や骨折などに伴う出血などによって筋膜に囲まれた区画(コンパートメント)の内圧が上昇し、血液の巡りが悪くなる状態です。処置が遅れると筋肉壊死や神経麻痺が起こることがあります。

検査・診断

  問診と身体診察を中心に診断を行います。シンスプリントは骨膜の炎症のためX線検査(レントゲン)上では変化がないのが一般的です。しかし症状が続く場合は再検査も必要で疲労骨折との鑑別のために、再度X線検査やMRI検査、骨シンチグラフィー検査が行われることもあります。

症状が継続し、のちに骨変化が出てきたら疲労骨折と診断を変更します。MRI画像上では脛骨の骨膜に肥厚した高信号変化が見られる場合があります。

 コンパートメント症候群との鑑別は、特殊な圧力計を使用し運動時のコンパートメント内圧を測定します。

治療

 治療方針としては、シンスプリントの要因となる運動を休止し安静にします。その間、アイシングや消炎鎮痛剤、湿布で炎症を抑え痛みの軽減を図ります。

 扁平足や回内足に対しては、リハビリテーションや足底板(インソール)を用いて足のアーチを補強し患部への負荷を減らします。また、患部の負荷軽減のためにテーピングを行うこともあります。

リハビリテーション

 炎症期には患部を休めるために練習を休止や練習量を減らします。しかし、長く安静にしていると運動能力が低下してしまいます。そのため、安静時でも可能である体幹や股関節、足関節の可動域や柔軟性、筋力の改善を図ります。筋力では股関節の筋力や内側ハムストリングスの筋力低下で着地動作で足の内側で着地してしまう事がよく見られます。そのため、炎症期には患部以外の筋力運動なども実施しましょう。また患部にストレスがかかりにくい水泳やエアロバイクなどもおすすめです。 運動時痛の消失に伴い、足関節周囲の筋力運動や足の指の運動(タオルギャザーなど)を行います。患部に圧痛が見られなくなったらウォーキングからはじめ、両脚ジャンプなどで疼痛が消失したらジョグやランニングを行っていきます。ただし、急激に練習量を増やすと再発しやすいため注意が必要です。

終わりに

 今回は、シンスプリントについて記載しました。シンスプリントはスポーツ障害の1つで、痛みが長引きやすいです。状況によって練習を休めないこともあるかもしれませんが、勇気を持って安静にすることや練習量の調節、練習後のケアをしっかり行い悪化させないようにしましょう。また、現在症状が見られていなくてもチーム内にいたり、上記要因に思い当たる方はしっかりと向き合いましょう。

私たち東灘区 おかだ整形外科は真摯に向き合い治療しています。

 

理学療法士 牧 将平