疲労骨折について

診療時間・休診日

ブログ

疲労骨折について

2024/03/31

概要

 疲労骨折とは、大きな外力によって生じる骨折とは違い微細な外力が身体の一部に継続的に加わった際に生じる骨折のことを指します。過去には軍隊の行軍訓練で足の甲に生じることが多く行軍骨折ともいわれていました。発症年齢は様々ですが、成長期(特に11〜16歳)に多く見られているとの報告されています。特にこの年代では部活動などでスポーツ本格的に始める時期でもあり、環境の変化や練習内容や頻度の変化に対して身体の成長が追いつかない状況などで生じてしまいます。

要因

個人の問題点

 

・柔軟性低下

・筋力不足

・アンバランスな筋力

・未熟な技術・フォーム

・無月経、摂食障害(女性アスリート)など

練習内容、環境要因による問題点

 

・オーバートレーニング (練習の急激な量の増加や質の変化)

・選手のレベル(体力・技術)に合わない練習

・不適切な靴 (スパイクなど)

・固すぎたり、 柔らかすぎる練習場 など

発症部位

 

・脛骨(すねの骨)

・腓骨(すねの外側の骨)

・中足骨(足の甲の骨 特に第2中足骨)

・恥骨(骨盤)

・舟状骨(足部)

・踵骨(かかと)

・尺骨肘頭(肘の骨)

・肋骨

・腰椎(腰椎分離症)

 

症状

 症状としては、明らかな外傷がないが運動時に疼痛が出現し安静時には軽快、消失します。
しかし、無理をして運動を続けていると状態が進行し安静時痛を伴うようになります。

通常骨折のように皮下出血や激しい動作時痛を伴う事は少ないですが、局所の腫脹や圧痛がみられます。

検査・診断

 診察では上記のような症状が無いか、最近の練習量や練習靴の変更や練習場所の環境などを問診にて確認します。
 早期の症例では、X線上では明らかな骨折線や変化を認めません。 その時は経過をみて数週間後に再度X線写真をとるか、この様な時期には骨シンチグラフフィー(放射線を出す物質を注射して骨への集まりを見る検査)やCT、MRIで確認することもあります。2~3週間経過を追い骨折線が明らかになったり骨折線の周りに淡い骨の像が見えてきたりします。骨折線がはっきりしないまま経過する事も多いので、見逃されやすい怪我と言えます。

治療

 治療の第一選択は安静です。

原則として原因となったスポーツ活動を禁止します。しかし、アスリートは練習や試合を休めずに安静を行えず、かえって治療期間を長くしてしまうケースが見受けられます。

 安静期間は骨折の部位によって多少の差があります。ギプス固定や装具などでの固定をすることは、通常は行いません。 骨折部に負担のかからないトレーニングは状況に応じて許可します。 スポーツへの復帰は骨折部の圧痛がないことや筋力の回復状態、X線検査などで判定し、通常2~3ヶ月で可能となります。 その間に理学療法(運動療法や物理療法)を行います。内容としては、骨折部位にかかるストレスが何によって生じているかを評価し、ストレッチや筋力運動、動作練習などを含めて実施していきます。物理療法では超音波骨折治療器が使用する事もあります。

 代表的な疲労骨折の1つで難治性の第5中足骨基部骨折(Jones骨折)はサッカー選手で多く発生します。この骨折は非常に治りにくく、手術を早期に行うこともあります

また、大腿骨頚部(股関節の付け根)の疲労骨折の場合、安静や松葉杖を使用して体重をかけないようにしたほうが安全と思われます

予防

 疲労骨折は骨折部位に過度のストレスがかかることで発症します。

上記した要因が様々な形で絡み合って生じる怪我です。しかし、一番の要因はオーバーユースによるストレスの増加なので、これを改善することが最も重要です。
また、練習環境(特に冬場の練習量増加など)や用具(自分に合わない物)に対する配慮も必要です。

おわりに

今回は疲労骨折について記載しました。

様々な要因によって生じる怪我です。特にチーム内で多い場合は練習量や環境による問題も考えられます。

指導者含め、両親も考えていく必要のある怪我でもあります。

症状がみられた際には無理をせずに早期受診をしましょう。

私たち神戸市東灘区の整形外科、おかだ整形外科は真摯に向き合い治療しています。

 

理学療法士 牧 将平