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肘部管症候群について

2023/09/24

概要

 肘部管症候群とは、手指の運動や感覚を司る尺骨神経に障害が生じることを指します。

肘部管とは、上腕骨、靭帯、筋膜・腱膜によって構成された肘関節の内側にあるトンネル状の構造であり、その中を尺骨神経が通っています。尺骨神経は上腕から前腕、指先に至るまで広く分布しており、肘関節の変形や腫瘤、外傷などの要因により圧迫ストレスや牽引ストレスを受けることで肘部管症候群を発症します。大工、主婦の方が発症しやすいです。

要因

 肘部管症候群の要因としては、尺骨神経が慢性的に圧迫されることによって生じます。

尺骨神経とは上腕から指先を通る長い神経です。

要因として、肘関節を屈曲すると肘部管の圧は約3倍に増加するといわれています。そのため長時間、肘関節を曲げて作業するお仕事の方などは発症しやすいと考えられます。また、野球や柔道などのスポーツ経験のある方や幼少期の骨折、交通事故による外傷、ガングリオンなども要因となることもあります。

症状

 肘部管症候群の一番の症状は痺れです。特に痺れる部位は小指、薬指の小指側においてしびれや痛みなどを感じることが多いです。

また、上記したように肘関節を曲げていると尺骨神経への刺激が強くなり症状が強くなる点も特徴です。

初期は薬指・小指から肘にかけての痺れや痛みから始まり、進行すると、しびれや痛みが増したり、薬指・小指が痩せてきます。その後、薬指・小指の屈曲がしづらくなり、結果的に物をつかみにくくなります。さらに進行すると、薬指・小指が曲がったままの状態に変形していきます。その状態を「鷲手(わして)」と表現することもあります。肘部管症候群では、肘関節の内側を叩くと、手の小指側に痛みが誘発されます(Tinelサイン)。

検査・診断

 肘部管症候群の診断は、問診にて自覚症状の確認(疼痛や痺れなど)や視診にて肘関節や手指関節の状態の確認、Tinelサインの有無なども確認します。

また、肘部管症候群では人差し指と親指で挟む力が低下するため、両手の親指と人差しで紙をつまみ引っ張る動作(Froment徴候=フローマン徴候)をしてもらいます。

 画像検査では、超音波検査によって尺骨神経の走行状態などの確認を行ないます。状況によっては、X線、CT、MRI検査などで、尺骨神経が圧迫されている原因(変形、腫瘤など)を調べます。また、末梢神経に電気刺激を加えて引き起こされる反応から末梢神経の機能を調べる「神経伝導速度検査」を実施することもあります。

治療

 肘部管症候群の治療は、骨折やガングリオンなど明らかな原因とがない場合、保存的な治療方法で経過を観察します。保存的な治療としては薬物の投与・肘関節の安静(慢性的な肘関節へのストレスを減らすことが有効)などの保存療法をまずは行います。

保存療法でも改善せず麻痺が進行する場合は、狭くなっている肘部管を広げたり、骨棘を切除したりする手術が行われます。肘部管症候群により神経障害や筋萎縮が生じている場合には、腱移行手術などが行われます。

終わりに

以上が肘部管症候群についてです。

前回の手根管症候群と同様に末梢神経障害ですが、頸椎疾患とも似た症状となります。

痛みや痺れなど違和感が生じたらすぐに受診しましょう。

私たち神戸市東灘区の整形外科、おかだ整形外科は真摯に向き合い治療しています。

理学療法士 牧 将平