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野球肩について

2023/11/26

概要

 野球肩(投球障害肩)とは、投球動作に伴って発症する肩関節周囲障害の総称です。肩関節を投球などで使いすぎることによって発症するケースが多いとされています。

野球の投手に多くみられる症状ですが、テニスやバレーボール、ハンドボール、やり投げなどの競技でも発症します。

 野球肩は、インピジメント症候群、上腕骨骨端線障害(リトルリーグショルダー)、関節唇損傷、動揺肩など複数の怪我を含めた疾患概念です。

 野球肩の原因は投球過多などオーバーユースが原因となりますが、その詳細な要因は2つあります。

全身運動である投球動作に伴う肩関節の障害でありますが、身体機能そのものに問題がある身体的要因の問題とフォームや体の使い方など技術的要素がその要因なる問題があります。

症状

 投球時痛の多くは慢性的な発症であり、徐々に痛みが増悪しますが、ときにピッチング時や遠投時に急激な痛みが発生するなど、急性損傷もありえます。

痛みの種類

・腱板炎…鈍いもしくは重だるいような慢性痛

・腱板損傷…鋭い痛み。脱力感。

・関節唇損傷…引っかかり感や脱力感

要因

 野球肩は、肩関節を構成する筋肉や腱、関節唇などが投球という肩関節へ負担のかかる動作を繰り返し行うことで小さな損傷が重なることで発症します。

 

・上腕骨骨端線障害(リトルリーグショルダー)

  投球動作により上腕骨近位骨端線に回旋のストレスと遠心力を伴う牽引ストレスにより大きな負荷

 が加わり、この動作が何度も繰り返されることで骨端症を引き起こすと考えられます。

 小学校高学年から中学生に多く認められており、約半数以上は投手であることが多いです。また稀に

 高校生になって再発するケースも散見されます。

 

<要因>

・急激な成長による身体機能の変化(身体柔軟性の低下など)

・誤ったフォームでの投球

・投球動作の繰り返し行う

・腱板損傷

  スポーツ障害により発症する腱板損傷は、一般的に若年者が多いといわれています。特に多いのが

 野球やテニス、バレーボールなどオーバーヘッドスポーツに多いとされています。

 腱板とは肩関節の肩甲骨と上腕骨をつなぐ重要な筋肉(腱組織)であり、棘上筋や棘下筋、小円筋、

 肩甲下筋で構成されています。その中で棘上筋、棘下筋移行部を中心とする腱板関節面不全断裂が多

 いとされています。

 

<要因>

・患部外の身体的機能の低下

・投球動作の繰り返し

・誤ったフォームでの投球

・肩より上に腕を挙げる動作の繰り返し

・ウエイトトレーニングなど、重い物を持って肩より上に腕を挙げたときにかかる過剰な負荷

・関節唇損傷

  関節唇損傷の中でも上方関節唇損傷が多く、上方関節唇損傷は上肢(腕)を挙上した状態で転倒し

 た外傷による損傷と投球動作により上腕二頭筋が付着している部位が牽引され生じる損傷がある。多

 いのは投球動作などオーバーヘッドスポーツによって牽引され生じることが多い。

 

<要因>

・患部外の身体的機能の低下

・投球動作の繰り返し

・誤ったフォームでの投球

・飛び込んだ際に捻ってしまう

検査・診断

 投球動作時で感じる肩の痛みなどの症状がある際に野球肩を疑います。

診断の際には、問診や丁寧な身体診察(整形外科テストなど)を行います。

また、投球動作のどのタイミングでどこに痛みを感じるかなどの問診が非常に重要になるため確認します。

 レントゲンやMRI検査などの画像検査も重要です。こうした画像検査を通して、骨や腱、筋肉、靭帯などを正確に評価することで、障害部位を特定することが可能になります。

治療

 野球肩の治療には、保存療法が基本です。

まず肩関節の安静を図り、投球動作禁止が重要です。

症状に対処するために湿布や痛み止めを使用することもあります。

 疼痛が生じた要因に対してきっちりと向き合う必要があります。

身体機能的な問題点が要因であれば、しっかりと対処していきます。

身体柔軟性や腱板筋の筋力低下、股関節などの下半身の問題などです。

また、投球フォームが適切でなく技術的に問題がある問題点に対しても向き合う必要があります。

肩関節に負担がかかっている投球フォームの是正も考慮すべきポイントです。

いわゆる肘の下がったフォームは肩に負担がかかりやすいとされています。

これらの問題点1つだけが原因となることはなく、さまざまな要因が絡み合って痛みを生じています。

日常的に投球後のマッサージやアイシングなどの身体へのケアも重要となります。

上記のような保存的な治療で症状の改善が期待できない場合には、手術的な治療介入が検討されます。

終わりに

 今回は、野球肩について記載しました。

 野球肩を発症した場合は、症状改善後も自己にてリハビリテーションを行うことが重要であり、症状が再発しないように対応すること大切です。

こうした治療経過には、スポーツに関して専門的な知識を持つ医療従事者のアドバイスが必要となるため、野球肩が疑われる状況においては休息を取ることを躊躇せず、早い段階で受診することが大切であるといえます。私たち神戸市東灘区の整形外科、おかだ整形外科は真摯に向き合い治療しています。

 

理学療法士 牧 将平