Test(関節リウマチについて)

診療時間・休診日

ブログ

関節リウマチについて

2023/11/05

概要

 関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)とは、自分自身の体の免疫異常により関節に炎症が起こりり生じるものです。つまり関節の内面を覆っている滑膜に炎症が起こる自己免疫疾患です。

関節の痛みや腫れが生じ、進行すると関節の変形や機能障害をきたします。

 原因は未だ不明とされていますが、遺伝的要因や喫煙、歯周病などが要因とされています。

 性差では女性は男性のおよそ4倍多く、比率では1:4~5です。30~60歳代で好発しますが、最近ではさらに高齢で発症する方も増えています。日本での有病率は人口の0.5〜1%弱で総患者数は70~100万人と考えられています。

要因

 免疫機能とは、本来は細菌やウイルスなどから自身の身体を守る機能です。つまり身体の防御機能です。しかし、関節リウマチではこの免疫機能が何らかの異常によって自分の身体に対して働きます。結果的に身体の一部である関節に対して反応を起こし痛みや炎症を引き起こすと考えられています。

 現在、原因は明らかになっていませんが、遺伝的要因と環境的要因が組み合わさって発症するものとして考えられています。

 近年の研究では、関節リウマチの発症に遺伝的要因が10〜15%関与していると考えられています。遺伝的要因としては、リウマチになりやすい遺伝子が100種類程度あると考えられており、その代表例として白血球の遺伝子であるHLA-DRB1などが挙げられます。

一方、環境的要因として確実視されているのは喫煙です。また、可能性のある要因として、歯周病、腸内細菌の乱れ、慢性の呼吸器感染症など免疫系が活性化される要因が挙げられています。

症状

 主な症状は、関節の痛みや腫れ、朝の関節のこわばりです。

 痛みは全身の関節に生じる可能性があります。

特に手首や手指の関節に起こることが多く、大多数が1つの関節にとどまりません。関節炎が長期間続くと関節の軟骨・骨が少しずつ破壊され、関節の変形や脱臼、関節が硬くこわばる強直、関節の曲げ伸ばしが難しくなる拘縮を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたします。

 また、炎症が強ければ発熱、全身倦怠感、体重減少、食欲不振といった全身症状を伴うこともあるほか、間質性肺炎や血管炎などを合併するケースもあります。特に間質性肺炎はレントゲンで7〜10%、CT検査で20〜30%みられる頻度の高い合併症です。

 関節のこわばりとは、朝起床時に手指のはれぼったさや動かしにくさを感じることです。手指の伸展(伸ばすこと)時よりも屈曲(曲げること)時に強く感じることが多いです。原因としては、関節痛や拘縮ではなく、睡眠による長時間の不動による周囲組織の浮腫、関節液貯留、関節包の肥厚による生じると考えられています。特徴的なのは1時間以上と長時間続くことです。通常は起床後の運動や温熱で改善されます。

検査・診断

 関節リウマチの検査には血液検査や画像検査を行います。それらの検査結果と症状を組み合わせて診断します。

・血液検査

 

 関節リウマチの血液検査では、自己抗体の様子と炎症反応の様子を調べます。自己抗体ではリウマトイド因子や抗CCP抗体の検査が行われます。保険診療の場合、先にリウマトイド因子を調べ、これが陰性の場合でも関節リウマチが疑わしい場合に抗CCP抗体の検査を行うことが一般的です。一方、炎症反応では赤血球沈降速度(赤沈やCRP〈C反応性たんぱく〉)の検査が行われます。

しかし、血液検査が陽性でも必ず関節リウマチというわけではありません。特にリウマトイド因子は健康な方でも陽性になることが多いため、注意が必要です。

また、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陰性の関節リウマチもあります。症状や経過から総合的に診断する必要があります。また、関節破壊と相関すると言われているMMP-3などが重要です。

・画像検査

 

 画像検査は単純レントゲン検査を中心に行います。追加で関節超音波検査やMRI検査が行われることがあります。単純レントゲン検査では手足を撮影し、骨の表面がかけた状態である骨びらんの有無や関節の隙間が狭くない状態かどうかを確かめます。

 関節超音波が行える医療機関では、関節の腫れや炎症を確認するために関節超音波検査が行われることもあります。また、より詳しく調べる必要がある場合に、MRI検査によって滑膜の腫れや骨びらんを確認します。

 

治療

 治療の基本は、発症早期より関節リウマチにおける免疫異常を改善する「抗リウマチ薬」を開始し、必要に応じて、炎症や痛みを軽減する「ステロイド」、「痛み止め(非ステロイド系抗炎症薬)」を使用します。薬物療法は治療の中心的存在であり、リウマチによる関節の炎症や破壊を抑え、寛解を目指す目的で行われます。

抗リウマチ薬は効果発現に1~3ヵ月かかるため、副作用に気を付けながら継続することが重要です。また、新たな抗リウマチ薬として、高い治療効果が期待できる「生物学的製剤」、「JAK阻害薬」が登場し、使用頻度が増加しています。関節の変形、破壊が進行した場合には、人工関節置換術をはじめとした手術治療も行われます。

生活上の注意点

 症状が強い時は、安静、関節の保護が重要です。症状が落ち着いたら、適度な運動を含めたリハビリテーションを行い、筋力や関節の動きを維持しましょう。関節の変形や保護、日常動作の助けのために頸椎カラーや足底版などの装具を使用することもあります。

感染症には常に注意が必要です。喫煙や歯周病は、治療効果にも影響するため、禁煙し、歯周病はしっかり治療しましょう。

終わりに

以上が関節リウマチについてです。

関節リウマチは治らない病気と言われていました。

しかし、現在は早期治療に取り掛かり、根気よく治療することで症状を寛解することは可能です。

気になる点や質問などがある場合は、早期に受診してみてください。

私たち神戸市東灘区の整形外科、おかだ整形外科は真摯に向き合い治療しています。

 

理学療法士 牧 将平